まず、総合保健福祉システム「健康家族21®」誕生のきっかけについてお聞かせください。

1980年代後半、兵庫県の五色県民健康村健康道場において、入所者の健康情報管理システムの開発を受託したことが、すべての始まりでした。
五色県民健康村健康道場は、1982年に兵庫県と旧五色町(現洲本市)の合同事業として生まれた、医学的絶食療法(断食)専門の道場です。
ここから私たちの道のりが始まりました。

最初はどんなシステムでしたか?

当時は明石海峡大橋も開通しておらず、毎回タコフェリーで淡路島に通っていました。営業1名、開発2名の小さなチームでしたが、限られた資源と時間の中でMS-DOSとC言語を駆使し、ゼロからアイデアと工夫を積み重ねてシステムを作り上げました。一つひとつ丁寧に課題に向き合う日々が、いま思えば私たちの強みを磨くきっかけにもなりました。

自治体向けシステムとしてのスタートは?

五色県民健康村健康道場での開発の後、旧青垣町(現:丹波市)から「住民の健康情報を継続管理できないか?」とご相談を受け、自治体向けの健康管理システム開発へと繋がりました。
ご依頼をいただいた際には、何度も現場に足を運び、現場の声を直接システムに反映できるものづくりを心がけました。
これが、今日まで大切にしている「お客様にとって最も身近で頼れるITパートナーであり続ける」という当社の信念の原点となっています。

「健康管理システム」から広がった「健康家族21®」。福祉分野への発展は?

1989年、国のゴールドプラン施行を受け、市町村担当者とともに高齢者保健福祉推進の計画づくりから関わりました。
そこで得た現場理解や信頼関係をもとに、「要援護者管理システム」(1991年)をはじめ、障がいや高齢者向けの福祉サービス管理システム(1994年)、新ゴールドプランで始まった「在宅介護支援センター」の情報管理システム(1995年)など、このように一歩ずつ、地域福祉の現場を支えるITへと取り組みを広げていきました。

98年にはパッケージ名称を「健康家族」から「健康家族21®」へ改称しました。

自治体向け健康・福祉情報管理の統合プラットフォームとして、お客様の多様な課題により幅広く対応できるよう、名称を改めました。
その後も多様なご要望に迅速かつ柔軟に対応する――この姿勢が、何十年ものお付き合いになる自治体様や事業者様との信頼を培ってきました。

2000年の介護保険制度、2003年の支援費制度など、制度改正にも素早く対応されたそうですね。

はい。福祉サービス管理システムも、制度改正のたびに自治体様や事業者様と密に連携し、常に現場目線でアップデートしてきました。
2001年には介護事業者向けクラウドサービス「介護エイド」を立ち上げ、全国の事業者様に愛用されています。
また、2006年の介護保険法改定では、地域包括支援センター管理システムを迅速に開発。その後も介護予防や地域包括ケア支援システムなど、「現場のリアル」に応えるITパートナーとして歩み続けています。

「健康家族21®」が長く愛される理由は、どこにあるとお考えですか?

システムは単なるツールではありません。現場で実際に使う方々、つまりお客様の課題や困りごとにいかに寄り添い、期待以上のものをお届けできるか――。
私たちは「お客様が本当に困ったときに、一番に思い浮かべてもらえる存在」であり続けることを使命とし、変化する制度やニーズへの柔軟な対応、きめ細かなサポートとアフターフォローを心がけてきました。
そうした真摯な積み重ねが、結果的に40年以上にわたり長く愛され続ける理由ではないかと考えています。

これからの「健康家族21®」について教えてください。

今後は自治体DXへの対応がさらに求められるでしょう。AIによる健康リスク予測やスマートフォンとの連携によるリアルタイムなデータ収集など、新技術の導入を積極的に進めながら、「データドリブンな健康寿命延伸支援」をさらに強化していきます。
時代が変わっても、私たちの原点は「お客様にとって最も身近で頼れるITパートナー」。現場の声を大切にし、これからも地域の健康と福祉に、ITで新たな価値を届けてまいります。